
「さあ目をとじて、かわいい子」サリー・ニコルズ 杉本詠美訳(2025年4月)
オリヴィアは5歳から里親を転々とし、11歳で16件目のアイヴィー家にやってきた。里親のジムと実子で同い年のダニエル、その妹のハリエット、同じく里子で娘のメイジーを出産したばかりで大学受験を控えたグレースとロンドン郊外の田舎で暮らすことに。一時預かりでオリヴィアを気にかけてくれるリズも時々オリヴィアに会いに来る。最初は順調だった。しかし乳幼児400人を殺した殺人鬼アメリアの幽霊が夜な夜なオリヴィアの元に現れるようになり…。
ホラー、ミステリの要素を兼ね備えたジュブナイル(今はYA(ヤングアダルト)というんだっけ?)と侮るなかれ。里親を転々とした複雑な生い立ちのオリヴィアだが、自分の気持ちを上手く言葉にできず腹を立て当たり散らす(までまいかなくとも)ことは年齢関係なく誰でも持つ怒りなのではないだろうか。その表現手段が子供なら稚拙でも仕方ないと思えるし、11歳ならもう少し冷静に説明できるかもしれないと読者も気持ちが分かるゆえ煩悶を抱えつつ、進むストーリーから目が離せなくなる。
オリヴィア目線から語られるので、文章は分かりやすい。常に怒りを抱える彼女に起こることや彼女の感情が読者には伝わるのに、ジムやダニエル、グレースにはなかなか伝わらないのがもどかしい。そこに1番共感できた。人になかなか伝わらないことあるよね?
アメリアとはイギリスに実在した殺人鬼である。表紙の写真は実在のものと思われる。ホラーは苦手なのでそこは勘弁してくれーと思いながらだったが。とにかくオリヴィアの感情と先の読めない展開に心かき乱されること必至。
久々感情移入できる物語だった。

みんな仲良くできればいいのにねー♪
